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【独女通信】30代独身女性“登山ブーム”の謎(前編)2006年10月11日12時15分
都内で契約社員をしている由美子さん(仮名)は30歳になる誕生日を迎えるにあたり、「大きなチャレンジをしてみたい」と考えていた。そしていよいよ迎えた三十路の誕生日、由美子さんはある決意をする。
「富士山に登ろう」
富士山……説明不要の日本一高い山。女性が生半可な気持ちでチャレンジできるようなヤワなものではない。高山病に苦しむ人も多いし、登山シーズンの8月でも8合目付近になると体感気温は0度という過酷さだ。しかし由美子さんの決意は揺るぎがない。まず数ヶ月前からジムへ通い体を鍛え、さらに体慣らしとして高尾山にも登った。そこまで用意周到で挑んだ結果、無事登頂を達成したという。その感想を聞いてみると、「すごーく達成感あって感動した。でもよく言われている“オーラ”はよく分からなかった」この“オーラ”というのは実をいうと由美子さんのような30代独身女性にとってかなり重要なキーワードなのだが、それはひとまず置いておく。ちなみに由美子さん、今後他の山へ登る予定は「特にない」そうだ。富士山へ登ったらもう満足なんだそう。
ここ数年由美子さんのような30歳付近の“独女”達の間で登山はひそかなブームとなっているという。女性誌でも登山に関する特集が組まれており、登山グッズを扱うアウトドアショップでも女性客の姿を頻繁に見かけるようになった。一体なぜ、独女たちは山に登るのか?前述の由美子さんのほかにも、今年登頂した女性達の声を聞いてみた。
まず「非日常の世界を観てみたかった」と答えたのは、今年8月に槍ヶ岳へ登った26歳の加奈子さん(仮名)。彼女の気持ちを代弁するのが、同行した登山経験豊富な男性。「結局、登らないと観られない光景を自分だけが観られるっていう“優越感”なんじゃないのかな?それはダイビングで海中を観たいっていう心理と似ているかもしれない。それにしても最近、自分のところに“山登ってみたいんだけど”って相談にくる女の子、多いよ」。
ここで山に登る上でいくつかのキーワードがでてきた。
“チャレンジ”“達成感”“オーラ”“非日常”“優越感”。
これらのキーワードに共通するのは、ズバリ“不安”ではないだろうか?
後編では、その不安とは一体何なのかに迫ります。(高山 惠)
【独女通信】30代独身女性“登山ブーム”の謎(後編)
2006年10月13日11時15分
今、30歳付近の“独女”達の間で登山はひそかなブームとなっているという。彼女達は一体、何故山に登るのか。
前編はこちら
前編では“チャレンジ”“達成感”“オーラ”“非日常”“優越感”という、いくつかのキーワードがでてきた。これらのキーワードに共通するのは“不安”ではないだろうか。
では、なぜ彼女たちは不安なのか?もちろんその要素は人によってさまざまだ。例えば「これから独身で30歳を迎える」ということで不安を感じている前述の由美子さん。いわゆるあの“負け犬”に自分が身を置くリアルな実感、これから襲ってくるだろう孤独や焦り。今はなくとも、“負け犬”というキーワードとともに近い将来そうなるだろうことはすぐに想像できるという。
一方、実際にどっぷり“負け犬”といわれる年齢に突入してしまった独女たちの場合だと、やはり「結婚もせずこれから1人でどうなるのだろう?」という不安がある。仕事は順調。でも独身のまま一生働く人生でいいのか?じゃあ結婚したいの?いや、したいと開き直れるほどまだ追い詰められてはいない。でも……結局そんな漠然とした堂々巡りのまま。
だからこそ、何か大きなチャレンジして、達成して、自分に自信をつけたい。
そして優越感を味わって、安心したい。だから山に登る。自分でハードルをつくってみる。そう考えてみると“登山”というのはビジュアル的にも精神的にもなんとも分かりやすすぎるハードルである気がする。
そして“オーラ”と“非現実”。これらのキーワードを考えるとチラついてくるのが今大流行している「スピリチュアルカウンセリング」。事実、由美子さんが口にしたように富士山というのは「オーラの強い場所」というのが独女たちの定説なんだという。オーラの強い場所に行くと、自分のオーラが強まって元気になるのだとか。とはいえその根拠は「江原さんが言っていたらしい」というなんとも曖昧なもの。江原さんとはスピリチュアルカウンセラーの江原啓之氏。氏の著書では、そういった日本各地の神社やスピリチュアルスポットの紹介などを行っており、その中に富士山も含まれているせいか、富士山に登る女性が増加しているというのだ。
独女がなぜこのような“スピリチュアル”なものに惹かれるのか……これを分析すると、結局それも“不安だから”という大きな枠に収めていいように思う。不安だから、“非現実”の世界に現実逃避をしてしまうのではないだろうか。
とはいえ登山は決して悪いことじゃないし、むしろフィットネスジムに通わなくとも全身運動になるなど、いいことずくめ。お金だってそれほどかからない。 ちなみに加奈子さんと同行した山好きの男性は「山好きとしては理由はどうあれ、山に興味を持ってくれる子が増えるのはうれしいよ」と、目を輝かせていた。
山に登る人の気持ちはさまざまなのである。(高山 惠)
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